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「出会いと別れ」

−出会いの数と、別れの数は、おんなじ。−

うちの病院では外来予約を3ヶ月先まで閲覧出来るので、自分が担当している患者さんをだいたい把握できる。昨日数えてみたら、450人くらい。ほとんどの人は自分より年上。そりゃそうだ。循環器内科は老年科ですからね。

ふと、思う。もしもこのまま何年もこの病院に勤めていたなら、自分はそれだけの人たちの死に立ち会うということ。見送ってばかりだね。これから、ずっと。

そういえば、高校生の頃ととか、ずいぶんと「出会い」に感激したように思う。学校で、社会で、街角で。様々な出会いのおかげで今の自分がある。音楽や文学だってそのひとつ。

もちろん、出会いはあるよ。新しい感激だって、これからずっとあるだろう。ただ、常に別れを意識させられる仕事というのは、どうだろう。少しづつ消耗していく気がしないでもない。機を織る、夕鶴。

これだけたくさんの人との出会いを果たしたのだから、今度は見送る番、なのかもしれない。告知をせず外来で診ている転移性腫瘍のおじいちゃん。綱渡りの心不全のおばあちゃん。

今日、意識が戻った担当の入院患者さんに酸素マスク越しに、言われた。(うちの孫かと思いました…。)まあね、そりゃ91歳のおばあちゃんから見れば孫同然かもだ(笑)。そんなはるか遠くの世代に自分の生死を預けるということ。家族の人にはもう告げてある。五分五分、ですから、と。

このおばあちゃんを救えるのかどうか。わからない。手は尽くした。

見送る数だけが。増えていく日々。


from kuu's interclinic; hospital aquarium No.56 written by kuu
by seagullk | 2005-02-22 00:36 | めでぃかる
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